ここずっと、患者さんをじっくり治療する、みたいな時間はほぼなくて
あっちへ呼ばれて、こっちへ呼ばれて
あれよあれよとフラフラしているうちに帰国になってしまった、という感じがあります。
あるときは、ジムにありそうなトレーニング機器の使い方を教えてくれと、
バヤンゴル区立病院というところに呼ばれました。
リハビリテーション科には医師が一人いるだけだというではありませんか。
その医師がわざわざ私たちの配属先に来て、「困っている」と。
よくよく聞くと、
もともとトレーニング機器は理学療法士が管理していて治療にも使われていたそうです。
使い方は、たった一人の理学療法士しか知らず、彼女が産休に入ったと同時にしばらくここの部屋は閉鎖されていたそうです。
この9月から新人医師が新たに配属されたわけなのですが、彼女は理学療法の知識もトレーニング機器の使い方も習ってきていません。
この度、病院側から「活用しなくてはもったいない」という話になったようで、新人医師の彼女に責任が課せられたそう。
その機器の使い方と運用について、すべての責任を負わされた彼女が、JICAボランティアがいるから、という理由で第三病院に来るのも変だなと思いましたが、
「来るもの拒まず」をモットーに活動していたボランティアなので対応します。
一緒にタクシーで例の病院へ。バヤンゴル区は、病院もうちも区内なので近いかと思いきや、タクシーで15分ほどかかりました。
この病院は、旧棟と新棟が分かれている上、子ども病院ていうのもさらに別棟らしいです。
子ども病院の1階に位置するリハビリテーション室。
入ってみるとびっくり、ものすごい新しくて立派な機器の数々。
治療台も2台、ティルトテーブルまである。
第三病院にはない機械がたくさん。
さすが、日本の支援。
そして、機器についている説明の絵と日本語を翻訳しながら口頭で使い方を説明しました。
しかし、日本で病院でこれだけの設備があるところに伺ったことがないので
私自身もどのような患者にどのような処方をするのか、わかりません。
それぞれの装置が作用する筋と、オープン・クローズという運動様式の違いによる効果の違いなどを説明しました。
先天性股関節脱臼の患者さんに座位での股関節内外転運動の機器を使用している、とのことでしたので、
負荷量は随時患者さんの反応を見て、
翌日に痛みや疲労がない範囲にしたらどうか。
ただし、負荷量を上げていかないと筋力増強の効果は得られないので、負荷量はいつも一定でいいということはないので注意するように話しました。
彼女は、私の説明をもとにプレゼンの資料を作り、職員対象に使い方セミナーをするそう。
彼女自身、使った経験ないのに、よくがんばっているなあ、と感動。
モンゴル語の資料をチェックしてくれと言われましたが、
これに関しては読めないので手伝えなくて申し訳なかったです。
彼女ならどうにかするでしょう。
美しくて、頑張るお母さんでもある彼女は、私と同い年でした。
ボルガン県で看護師をしているときに、JICAボランティアと話したことがあるそう。
その後、医師を志し、晴れて今年から医師として勤務しています。