JICAモンゴルでは、医療系の分科会「ソロンゴの会」という会が
最近活発に活動しております。
ソロンゴの会(Солонго зөвлөл)とは、
ボランティアの保健医療分野の隊員で構成されている会。
目的は隊員間で得た医療・福祉情報を共有すること、また隊員間で協力しセミナーや勉強会を実施することでモンゴルの医療・福祉に寄与すること。
モンゴルと日本の医療・福祉の架け橋でありたいという想いを込めて虹という意味である、ソロンゴ(Солонго)と名付けられたそうです。
現在の会員は、看護師5名、保健師2名、助産師1名、理学療法士5名、作業療法士1名、言語聴覚士1名
です。
昨日、おとといと、JICAモンゴル事務所にて、セミナーが開かれました。
昨日は内々の反省会と、今後の方針についての話し合いでしたが
一昨日はモンゴルの同僚も含めて、セミナーという形で各々発表や意見交換会を行いました。
プログラムは
- 隊員の自己紹介
- モンゴル側参加者の自己紹介
- ソロンゴの会活動紹介
- 専門家からJICAプロジェクトの紹介
- モンゴル側からの発表・・・看護協会、保健スポーツ省、看護学校、PT協会、OT協会
- 意見交換会
となっていました。
後姿ですが、左手前の2人は私の同僚です。
PT協会の会長であり、唯一のPTの養成校のPT学科長である先生も発表してくださいました。
先生は去年加盟したWCPTにも、参加して発表されました。
内容はPTの養成に関する現状と、人数などの統計的なお話、今後の教会の展望について話してくださいました。
プレゼンテーションの資料は英語で見やすく作りこまれていて、
話し方もすごく聞きやすかったです。
生徒さんからの人望も厚い先生です。
群馬大学に長く留学していらっしゃったので、大変日本語が堪能ですが、今回は通訳付きなので、モンゴル語で発表してくださいました。
意見交換会では、リハ部門と看護部門に分かれ、リハ部門のファシリテーターを務めさせていただきました。
緊張しましたが、ものすごく貴重な経験となりました。
終了後のご飯会には、残念ながらモンゴルの方は参加されませんでしたが、
JICAプロジェクトの方や調整員さんも、モンゴルへ派遣されたばかりの隊員さんも来てくださって、楽しく終わりました。
さて、本日出勤した際、
普段、運動指導士(алга зайлч)として、勤務している同僚に、「一昨日は来てくれてありがとう」と申しましたところ、「なぜ今まで知らなかったんだ!!!」というびっくりな話を教えてくれました。
彼についてわたしの今朝までの認識は、
「牽引室にいるお兄さん」
「病院内の球技大会を仕切る宴会番長」
「わたしの前任者のPTの元カウンターパート」
「去年の1月、わたしのカウンターパートと一緒に腰痛治療に関する手技獲得のために韓国に出張した」
しかし、彼の仕事ぶりに関しては私はちょっと怒っていて、別に彼のことを知りたいとも思っていなかったのです。
いつも職員とはにこにこと話していて、病院内でも、リハビリテーション科内でも、一目置かれているのはわかっているのですが、
患者さんの対応が結構ぞんざいなんです。
患者さんが自分で牽引機を操作して、ひょっとどこかへいなくって、牽引が終了すると患者さんが自分で牽引を外すなんてことがしょっちゅう行われています。
日本ではけん引機を患者自身で操作するなんてことは考えられないので、
「まったく、なにやっているの!」とちょっと怒りを覚えていました。
かといって、頚椎けん引や腰椎けん引に関して、機械の操作方法を一から知りたいわけでもないだろうし、「彼の仕事は私の仕事とは関係ない!」と見て見ぬふりしていたように思います。
こんな感じだったので、まさか、彼がリハビリに対して深い理解を持っているなんて、知る機会は今日までまったくありませんでいた。
「一昨日は、僕は、もっと言いたいことがあったんだ」と。
モンゴル側参加者の自己紹介の時間では足りない、たくさんJICAに伝えたいことがあったそう。
下の写真は、わたしたちの仕事場に大きく張ってあるポスターのデータです。
これまで、モンゴルに派遣されてきた2004年から2012年までのすべてのリハスタッフのことが書かれています。
2007年に、PT、OTダブルライセンスのJOCVが日本から第三病院に初めてやってきました。
2009年から2011年にPT、OTが一人ずつ
2012年から2014年にも、それぞれ一人ずつ
2014年から私が派遣されたという状況です。
そのすべての人々から、PT、OTそれぞれの知識を、
さらに、10番幼稚園に派遣されていたSTからも知識を吸収したとのこと。
「おれは、PTもOTもSTもできるぞ」と。
しかも、彼が2011年に卒業した新しいモンゴルの若いPTたちを第三病院へ引っ張ってきたというではありませんか!!!!
今では、第三病院はモンゴルのPTが7人も所属する大所帯になりました。(モンゴルの全PT数は83名なので、大所帯です)
リハ科の医師は、POSに対する知識が深いとは言えないのに、なんでこんなに第三病院のリハ科はリハビリのコメディガルに対して理解がある様子なのか不思議だったのです。
彼が影の首謀者だったのですね。
これからは、新しいセミナーをする前に、彼をひっぱっていろいろ教えてもらおうと思います。
2013年にできた、脳卒中のハイケアユニット(SCU)で特に、彼の知識が大活躍すると思うのです。
牽引室と、球技大会のあっせん業だけでは
とんだ宝の持ち腐れな人材なはずです。