モンゴルで理学療法士

青年海外協力隊として2014年10月~2016年10月、モンゴルに派遣。その記録です。

オーストラリア作業療法士のセミナー

1月の終わりの金曜日に配属先の第三病院にてセミナーがありました。

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ウランバートルの先輩PT隊員2人と、ドルノド県からソロンゴの会のために上京していたJOCVも参加してくださいました。

うまくまとまりませんでしたが、内容を報告させていただきます。 f:id:yuki12-99:20160202210600j:plain

いま、オーストラリアから、作業療法士(OT)の方がいらして、ウランバートルでOT協会の方と一緒に活動されているそうです。

今回は、褥瘡の評価法と、COPM(カナダ作業遂行測定)という評価表についての講義を行ってくださいました。

13時~16時まで、午後の時間をみっちり使って行われました。

 

13時から、頚椎損傷で、上肢しか動かなくなってから6年間、家で寝ているばかりだったという女性の方のケーススタディでした。

 

 

この方のはじめの問題点は左臀部の褥瘡だったそう。

この褥瘡の原因としては、ベッド上で寝ている時間が長いことですが、

彼女自身が、自分が何ができるのか知らず、家族や友達に頼りきりで、

いつか疲れて果ててしまうのではないかということも心配している状態であったということです。

 

 

以下は、スライドを和訳してみました。

 

問題点

  •   風呂に入れない、
  •   教会にお祈りをしに行けない
  •   花の水やりができない
  •   友達と交流したり、家から出ない
  •   友達や家族が彼女の介助をするのに疲れてしまうことを恐れている

 

彼女の希望の調査について

  •   彼女のやりたいこと、好きなことを聞き出した。
  •   彼女の好きなことは、祈ること、読書、映画鑑賞、友達とお茶すること、お裁縫。
  •   彼女をどうやったら介助できるのか、適切な助けをできるのか、家族や友達みんなが理解する必要がある。そして、彼女に人権について説明した。(彼女にはみんなの手助けを受ける権利があるということ)
  •  

褥瘡への指導

  • 自分自身で体位変換を定期的に行うこと
  • 臥位または座位で筋トレを行うこと
  • ベッドで1日中寝ないこと
  • 褥瘡の上に荷重すること、寝たり、座ったりすることを避ける
  • 皮膚は清潔に保つこと
  • 清潔で乾燥した状態に保つこと

 

環境への指導

  •   上肢を使って自立して車いすに乗れるようになること
  •   肩を痛めるため、モンキーバー(雲梯のように、天井に張られた引っ張り棒)を使いすぎないこと
  •   椅子やベッドやかかと部分にクッションを使用すること

 

ゴール設定の方法

  •   患者自身で決めるゴールを設定し、そのゴールは自分自身にとって大切なものにする。セラピスト側のゴールは、患者自身と違ったとしてもあえて言わなくてよい。
  • これはindividual centred therapyと呼ばれるものである。(このあたりが、COPMの考えも含めたものだと思います。COPMという評価表自体が、患者が5つまでゴールを提示し、各々のゴールの重要性を点数化して示すというものです)

 

ゴール設定

  1. ベッドで体位変換と上肢での寝返りを彼女自身で行う
  2. 車いすへ自分で委譲し操作すること
  3. ボーズを作ること
  4. 髪を洗うこと

 

結果

  •   Negative:2つの臀部の褥瘡(体位交換できなかったため)と、かかと部に褥瘡(靴擦れ、装具ずれによるもの)をつくってしまった。
  •   Positive:すべてのゴールが達成された。自宅へ帰り、自立できたことに、彼女自身が驚き喜んだ。

 

このケーススタディから、何かを学んでいただけたでしょうか!?

ありがとうございました。

 

つたないスライド翻訳は以上でした。 

 

講義の前の、導入部分で演者から投げかけられた質問に対して答えて、ディスカッションしたり、講義のあともモンゴルの医師やOTさんが質問したり、積極的に参加されていました。

この、ケースの患者さんが、このOTさんから得たものを考えると、なんだか胸が熱くなります。

やっぱりリハビリって素敵な考えかたをするものだなあと思いました。

 自分のことを、自分でできるんだ!て気づくことて素晴らしい。

そして、自分のことを知るのって怖いけど、それを助けてくれる人がいるって、なんて心強いんだろうって思います。

彼女は、事故で失ったものにおびえて6年間過ごしていたんじゃないかと思うけれど、改めて、身の回りのことを自分ですることの喜びを見つけたのではないかと想像しました。

 

 

2時間の講義のあと、OT室へ移動しました。

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入院している脳卒中の患者さんを対象にして実技を見せてくれました。

ちょっとここでの内容はよくわからなかったので、割愛。

30分ほどで、現場でモンゴルのOTとして働いている同僚が

患者さんの評価と治療を見せて、

それについて、口頭でディスカッションしていたようです。

残念ながら、少し離れただけで話の内容も通訳も聞こえず、話の内容は取りこぼしてしまいました。

 

そのあと、講義に参加してくれたJOCVに、リハ科の科長である医師が靴下をプレゼントしてくれていました。

わたしが、つい最近始めた透析室のリハビリテーションについても、

実際透析室までみんなを案内して説明してくれました。

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発表してくださったOTさん、参加してくれたJOCVの皆様、ありがとうございました。

いつも、なんだかんだとわたしを立ててくださる科長にも感謝。

自己嫌悪することばかりの最近ですが、あきらめずに残り頑張ります。